予感
5月13日、その日はとても寒い日。
いつものように、彼女からの電話で目が覚めた時から、その予感はあった。
「今日はねぇ、ちびが早起きしてるよっ」
「今日は健診だけど、何グラムになってるかな〜」
「ぱぱいってらっしゃいってうねうね動いてる☆」
いつも朝は寝ているちびが、珍しく起きてるという、たわいもない話。
でも、それがとても幸せな時間だなんて、深く考えてはいなかった。
その日、初めて営業に連れて行って貰えている時に、
遠く離れた彼女とちびの身に起きた事件など、私には気が付くはずなどなかった。
出先でお昼を食べ、リーダーと音楽談義を愉しみながら会社に戻り、
喫煙所で今後のアドバイスを受けている時に入ってきた1通のメール。
「病院から連絡があったので向かっています。」
義母からのメール。
よく見ると、自分の携帯と会社支給の携帯には、
合わせて18件にも及ぶ着信履歴が。
震える手で恐る恐る留守番電話を再生する私と、
心配そうに見つめる同僚たち。
-そういえば、今日って13日の金曜日だね-
アナウンスの間に、誰かがつぶやいたのを覚えている。
「病院から、出血したとの連絡がありました、すぐに連絡ください」
再生されたのは、慌てた義母の声。
折り返してみると、病院で普段どおり順番を待っていて、
診察室に入ってエコーを受け、立ち上がった時に突然出血したとの事。
「おしるし」と言われるような出血ではなく、200cc以上の出血。
当然すぐに会社を出たが、会社から病院までは約2時間。
押上や北千住での待ち時間がもどかしい。
電車をおり、タクシーの運転手に事情を話すと、
「それは一大事!」と少しだけ急いでくれた。
1分1分がとてつもなく長く感じる。
「確認したところ、胎児側の出血ではなく、子宮周辺の血管が裂けた疑いがあります。」
「現在、陣痛促進剤を点滴中ですが、出血が止まらない場合帝王切開になります」
陣痛が始まり、苦しむ彼女。
胎児の心拍モニターから響く、不規則な心拍音。
「先生!彼女とちびは無事なんですか!?」
私も正気を失っていたのかもしれない。
いつも落ち着いている先生が、表情を汗で曇らせながら私に告げる。
「かわいいね〜、ちびちゃんしゃっくりしてるよ。」
・・・・・しゃっくり?
「ん〜、マイクが少しずれてるからしゃっくりの音しか聞こえないね〜」
えーと、その、彼女とちびは無事なんですか?
「もちろん、今日中には産まれるんじゃないかな?]
はぁ。
「もう出血も落ち着いてるから心配ないですよ、でも本当に暑いね〜」
そういえば、走ってきたせいだと思ってたけど、自分も汗が凄い。
「分娩室との扉を開けてるからね〜、向こうは27度もあるんだよ。」
はぁ、、、。
「じゃ、旦那さん、ついててあげてね。」
と言うわけで、2005年5月13日金曜日、21時41分。
この世にとってもかわいい女の子が誕生いたしました。

長い一日だった。
後で聞いたところ、GW中に会った従兄弟の嫁が、
「安産体操はしたほうがいいよっ!私は2日かかったもん!」
と体操法などをアドバイスしてくれて、
産まれる2日前からせっせせっせとストレッチに励んでいたとの事。
妊娠中の運動は、ほどほどにね。特に開脚系。
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Posted by StudentDad
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