Walkin' Around増刊号アーカイブス

あなたの涙腺と表情筋に挑戦し続けるblog。

[04/12/10-14:46]

最後の着信。

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627 名前: 名無し物書き@推敲中? 03/08/28 21:14

少しお借りします。

高校の頃、憧れだった同級生がいました。
背が高くて、運動神経がよくって、たとえて言うなら
坂口憲二をもう少しワイルドにしたような感じの人でした。
高校時代はそんなに共通点もなかったのですが、
大学が二人とも関西地方だったこともあり、個人的に会うようになりました。
お互いスポーツが好きだったので、スノーボードやダイビング、
ボディボードを楽しんでいました。
お酒も好きで、あちこち飲み歩いていたような気がします。
私の好意は気づかれていたと思うのですが、長い間仲良しの異性の友達、でいました。
それぞれに恋人がいた時期もありましたが、彼との友情は変わることはありませんでした。

大学を卒業し、お互いに実家に帰り、就職しました。
なれない環境ながらもそれぞれの分野でがんばっていました。
会社でのストレスがたまると、どちらともなく誘い合い、
夜中にドライブしたりもしました。
ずっとこのまま、こういう関係が続くと思っていました。

あるとき、仕事で少し鬱気味だった私が、彼を誘おうと携帯に電話をかけました。
でも彼は出ません。あ、寝てるんだな、明日電話しよう…そう思いました。

そしてその次の日も電話をかけました。出ません。「気づいたら電話してね」
留守電を入れましたがその日も返事はありませんでした。

3日目。まだ電話はありません。今までこんなことはありませんでした。
どうしたんだろう。気になって、何年振りかで彼の実家に電話をかけました。
「あの、Wくんは…」「今、入院してるんですよ」「え?」

彼のお母さんに教えられた病院に行きました。
不安ばかりが先立ち、悪いことばかりが頭に浮かびます。
病室に行くと、彼は漫画を読んでました(w
思いのほか元気です。というか健康にしか見えない。
私に気づくと「え?なんでわかったの…?」「お母さんに教えてもらって…」
「ああ、そうだったんだ…」

「びっくりしたよ。電話に出ないし。どうしちゃったの?会社お休みしてるの?」
「会社は辞めた」「え?」「もう俺、勤められないかも」
「え??だって、元気そうじゃない?どこが悪いの?」
「俺、C型肝炎なんだ」「…」

幼い頃の輸血が原因で、肝炎に感染したということでした。
私はまったく知りませんでしたが、検査入院とか定期的な通院はしていたそうです。
彼はなぜか通常よりも病状の進行が早く、すでに初期肝硬変の症状があったということでした。
詳しくはわかりませんが、C型肝炎には特効薬はなく、このままでは肝臓ガンになって
死ぬのを待つばかりだということがあとでわかりました。
このときの入院は、当時もっとも有効といわれる治療をするために入院したものでした。

入院は3ヶ月ほどだったと思います。私はほとんど毎日お見舞いに行きました。
お見舞いというと彼は嫌がるので、病院に「遊びに」行きました。
しばらくが過ぎた頃、彼は「薬が効いてないんだ。この治療が効かないということは
もう今の俺には治療方法がないということなんだ…」といいました。
切なくて何も言えませんでした。
どんな励ましも軽くなってしまうようで言葉を出すことができませんでした。

検査入院(?)が終わった後、二人で会いました。
夜の公園を散歩して、ライトアップされている噴水のそばに座りました。
彼が言いました。
「俺、お前のことずっと好きだった。付き合いたいし、結婚したいとも思ってた。
 でも俺、こんな病気だ。お前より絶対先に死ぬ。そんなことになったらお前を
 悲しませるよな。だから俺は付き合ってほしい、とは言えなかった。
 だからもし、今回の治療でいい結果が出たら俺、お前に付き合ってくれっていおうって
 思ってた。でもいい結果は、出なかった。だから俺は決めた。
 これから好きなこと、やりたいことを全部やる。バイクで日本一周したいんだ。
 沖縄とか海外に潜りにも行きたいしな。カナダに山篭りもしたい。
 でもお前とは一緒にいれない。もうお前との思い出は作りたくないんだ。
 お前が苦しくなるからな。二人で会うのは今日が最後にしよう。電話はいつでもしてこい。
 仕事がイヤになったらメールで憂さばらししてこい。でも、もう会うのはやめにしよう。」

泣きながら別れました。どうして会ってはいけないのかわかりませんでした。
でも、彼が決めたこと、彼のこれからの人生のため、私は我慢しなければならないと思いました。

それからは電話、メールの関係が続きました。月に1度程度の連絡が年に数回になり、
最近はほとんど連絡をとっていませんでした。
その彼から、先週電話が入りました。

「元気か?」「うん。そちらは?」「おう、俺も相変わらずだ。お前、男はできたか?」
「うん…好きな人がいるんだけど、何考えてるかわからなくて…困ってる」
「そうか…しんどいな。まぁ、思い残すことのないようにな。女は度胸だからな、
 ぶつかってけよ」「あはは、んで玉砕しちゃうんだよねー」
いつもどおりの他愛のない話。いつもどおりの定期連絡でした。

そしてその2日あと、彼からまた電話が入りました。
こんなに間をおかずに連絡がきたことはここ数年ありませんでした。
「もしもし?どしたの?」「Wの母です…息子の電話からかけてます。Wは、昨夜死にました」
「!?」


彼のお母さんは、彼の携帯の発信履歴をみてかけてきたようでした。
私への電話が、最後の発信だったようです。
彼の携帯には未送信のメールが残っていました。私宛でした。

「Mへ。長い間ありがとう。お前との付き合いももう10年以上になるな。
 考えてみれば、俺の人生、1/3はお前と一緒だったわけだ。こんな体でごめんな。
 お前を幸せにしてやりたかったけど、俺には無理だった。電話で言ってた男には連絡したか?
 お前は素直じゃないからなかなか気持ちが伝わらないかもしれないけど
 思い切って話をしてみろよ。絶対大丈夫だから。俺が保証する。
 いいか、幸せな人生生きろよ。俺、お前と出会えて、おまえと10年間過ごすことができて
 本当に幸せだった。ありがとう。俺の分まで、長生きしろよ。お前が死んだら天国で
 ボードやろうな。でもお前、ばーちゃんになってて滑れないかもな(笑)じゃあな。」

まだ日にちの感覚が戻っていませんが、彼のお葬式が終わって3日目だとおもいます。
今日から会社に行くことができました。すべてが終わってしまったけど、何もなく毎日は過ぎていく。
今はまだ何かを考えるとか、できないけれど、これから彼の分まで生きなきゃならないな、と思います。
彼の人生をもらってしまった、って感じです。今の私には何かをすることはできないです。
でも、明日から、考えよう、そう思ってます。

まだ落ち着いていないので長文で、まとまりなくてすみませんでした。
誰にも言えなかったのでここに書かせてもらいました。ありがとうございました。
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Posted by 神谷 at 14:46





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