いいや兄ちゃん。あんたは最高だ。
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294 名前: 名無し物書き@推敲中? 03/02/11 20:55
阪神大震災の頃だった。
俺の6つ下の弟が、トラックにはねられ意識不明になった。
奇跡的に意識は戻ったが、脊髄損傷で寝たきりとなった。
高校のサッカー部で、県大会目前だった弟。
動かぬ手足に苛立ち、日ごとに心がすさんでいく弟を、家族はただ見守っているしかなかった。
入院して一年が経過する頃、弟は俺より老けて見えるようになっていた。
弟は真っ直ぐで、優しい性格だった。スポーツ万能で、いつもたくさんの友人に囲まれ、
バレンタインデーには鞄に入りきれないほどのチョコレートを恥ずかしげに持ち帰ってきた。
俺はもともと病弱で、かなり偏屈で、ドストエフスキーを愛する孤独な男だった。
だから余計に、弟の素直さが眩しかった。弟は俺の光だった。
事故で寝たきりになっても、その心だけは、曲がってほしくなかった。
でも、偏屈な俺には人の心をコントロールするなんてできず、祈るしかなかった。
俺は毎朝1時間早く起きて、近所にある神社に弟の回復を祈願しに行くようになった。
神社には60段の石段があり、毎日上り下りするうちに、病弱だった俺はずいぶん丈夫になってしまった。
俺が丈夫になってもなぁ…。春の朝、神社で満開の桜を見上げながら、そう思って泣けてきた。
奇跡が起きたのは、三度目の手術の後だった。
それまでまったく感覚のなかった弟の足が、痺れるようになってきたのである。
世話をするたび痛みを訴える弟の声。痛いという言葉がこれほど喜ばしいものだったとは…。
痺れは全身に拡がっていき、次第に痺れた部分が動くようになっていった。
弟の表情に明るさが戻った。
弟は、かつてサッカーに打ち込んだときの熱意でリハビリに励み、
今も右足に軽い麻痺が残っているものの、普通の生活を送っている。
現在は介護福祉士を目指して勉強している。回復してから二人目の彼女と熱愛中である。
俺は相も変わらず、偏屈な独り者。
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Posted by 神谷 at 01:05
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