Walkin' Around増刊号アーカイブス

あなたの涙腺と表情筋に挑戦し続けるblog。

[04/12/26-01:25]

最後のお別れ

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535 名前: 癒されたい名無しさん 04/08/17 04:48 ID:Xs6JL/eb


ある日、中学生だつた俺が家帰ると、家に一匹の座敷犬がいた。
その犬は血統証付きのメスのヨークシャテリアで、
母が受付をしている仕事先から、やってきたのだ。
どうやら子供を産んだ後、飼い主は子犬の方を育てる為に
親犬の引き取り手を探していたということらしい。

大人になってから、突然環境が変わったからか、
人間不信だったからか解らないが、なかなか母以外の人間にはなつこうとしなかった。
特に俺には・・・。『前の家に男がいなかったからでしょう』と
後から母に聞いたんだけど。当時の俺は、何で初対面で牙剥きながら、
ウ〜ウ〜唸ってるんだよ!コイツっ!って思ってた。

そんなコイツも俺が餌をやったり、水をやったりするうちに、
少しづつなつくように変わってきたんだ。
コイツ実は、中々頼もしいヤツだったみたいで、
自分の体より例え大きくても、野良猫を見ると
ガウガウ吠えながら追っ掛けて良く喧嘩してたっけ・・・。
テリアって毛の量がすごく多いから、実際の見た目より全然ちっこいんだよね。

一緒に風呂に入って体を洗う度に、毛が体に貼りついたコイツを見て、
いつか野良猫にやられるんじゃないかって、実は心配だった・・・。
テリアは目も弱いし、猫の爪で引っ掻かれでもしたら大変だから。

そんな野性児みたいだったコイツも、俺が大学に入る頃には
少しづつ衰えが目立つ様になってきた。
まぁ大人になってから来たんだし、前の家よりもウチの方が長くなっていたしね。
目の色が薄くなり、自慢の銀毛も抜け落ちて地肌がうっすら見え、
俺が喜ばそうと間違って与えてしまった犬用のガムのせいで犬歯も抜け落ち・・・。
今年の冬は越せるかな?なんて心配をするようにまでなってしまった。

ある日コイツが粗相をしているのを見つけた俺は、
鼻先をソレに近付けて頭を軽くはたいた。
反応がにぶくボケッとしていると思った俺はポコっともう一回はたいて、
さっさと片付けをしていた。
すると・・・。
自分で歩けないのかヨロヨロとして腰が抜けたようになっていた。
いつもは二階にある部屋まで駆け上がってくるのに、
階段はおろか歩くことすら大変そうで・・・。
そこから急速に老いてしまった。

それから二三日経つか経たない頃、二階で寝ている所に、
深夜なぜか布団の中に入ってきた。今までも何度もそうしてきた様に、
一緒に添い寝をし、そしてしばらく後に両手で抱きながら、
歩けなかったのに何故?と思いながら、一階の小屋に戻すと、
俺はもう一度布団に戻って朝を迎えた。

翌朝、ふっと犬のコトが頭をよぎって飛び起き、
下の犬小屋をのぞいてみると、そこには横たわって
目に大きな涙をたたえている姿があった。
ハッと思う間もなく、その目から涙がこぼれ落ち、体は全く動きもしなかった。
そぉーっと、手で頭を撫で、体をさするが反応がない!
わずかに体温を感じながら、母に『死んでるよ〜』と告げると
掃除機を片手に母が『さっき、お母さんが見たときは生きてたよ』って・・・。


僕の姿をみて数秒後に流れた涙と、きっと昨夜は無い力を振り絞って、
最後のお別れに来てくれたんだなぁ〜と繰り返し思い直した。

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Posted by 名無しさん at 01:25





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