Walkin' Around増刊号アーカイブス

あなたの涙腺と表情筋に挑戦し続けるblog。

[05/01/20-02:40]

じょうえつしんかんせん とき(・○・)

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873 :じょうえつしんかんせん とき(・○・):05/01/14 21:58:49 ID:SA0iCsqr

(1)しかんせん とき

 丸いかおの しんかんせんとうきょうえきには、たくさんのしんかんせんが集まります。
 「はやてだ、かっこいいなあ」
 「のぞみって、すごい速そうだね」
あたらしいしんかんせんは、こどもたちにも大人気です。
でも、もう何十年もはしっている「とき」は、あまり、見向きもされません。
 「なんだか、古くさいかたちだね」
 「ぼく、あっちの二階だてのにのりたいよう」
そんな声がきこえると、ときはちょっとかなしくなりました。
 「ぼくだって、まだまだがんばれるんだぞ」(・○・)

◆◆にいがたには、ときが大好きなおじさんがいました。
ときをピカピカにしてくれて、わるいところはすぐ直してくれるおじさんです。
ときは、おじさんとよくお話をしました。
 「おじさん、昔はみんな、ぼくに乗ると、すごいよろこんでくれてたよね。  
でも今は、みんないねむりばっかりしてるよ。なんだかつまらないよ」(・○・)
 「それはな、ときに乗れば、かならずしゅうてんまでつれて行ってくれるって、  
みんなあんしんしてるからなんだよ。だから、それでいいんだよ」
 「そっか、そうなんだね。」(・○・)
ときは、すこし元気になりました。また明日も、がんばって走ろうと思いました。

(2) がんばれ とき

秋になって、もみじが色づいてきたある日のことです
ときは、にいがためざしてはしっていました。
あたりはもう暗くなって、夜になろうとしていました。
ときは、びゅんびゅん、かいちょうにはしっていました。
ところが、トンネルをぬけたところで、おもわぬことがおきました。
 どすん! ぐらぐら ぐらぐら
大きな、じしんがおきたのです。
 「うわあっ!」(・○・)
200キロいじょうの、もうスピードで走っていたときが、
じしんのゆれで、いっしゅん、うきあがったのです。

ときは、レールをはずれて、だっせんしてしまいました。
 がたがた がたがた がりがり がりがり
 「このままじゃ、たおれちゃう!」(・○・)
ときは、みぎへ、ひだりへ、大きくゆさぶられます。
体をこすったり、ぶつけたりしても、なかなか止まりません。

 がたん!

いちばんうしろの車りょうが、大きく、ななめになりました。
よこはらを、コンクリートにこすって、火花がとびました。  「いたい!」(・○・)
それでも、スピードはおちません。

もうだめかも・・・ときはあきらめかけました。
その時、うんてんしさんの声がきこえました。

 「止まれ、止まれ、がんばれ」

うんてんしさんは、力いっぱい、ブレーキをかけていました。

 「そうだ、ぼくには、うんてんしさんや、しゃしょうさん、  
たくさんのお客さんが乗ってるんだ。
  ぼくがころんだりしたら、みんながケガしちゃう」

ときは、まっすぐ前をみました。
ころばないように、ぜんしんに力をこめました。

  「まっすぐ、まっすぐ、 転んじゃ、だめだ」(・○・)

 がりがり がたがた がりがり がたがた
体じゅうにきずができました。
しゃりんも、もうぼろぼろです。
ぎしぎしと、ものすごい音をたてて、火花がとびちりました。
それでも、ときは、痛みをこらえて、せいいっぱいの力をこめてふんばりました。

 「まっすぐ、まっすぐ」(・○・)
 がたがた がたがた がりがり がりがり ごとごと ごとごと  ごとん
 「止まったあ・・・」(・○・)

ときは、ころびませんでした。
お客さんも、みんな、ぶじでした。
きずだらけになって、ときは、がんばりぬいたのです。
わずか、一分ほどのできごとでした。


(3) だっせんした とき

それから、どれくらいたったころか、ききおぼえのある声がきこえてきました。
 「おおい、おおい」
にいがたのおじさんが、かけつけてくれたのです。
ときは、おじさんの顔をみてほっとしたのか、急になみだがでてきました。

 「痛かったよう・・・」(・○・)
 「そうだろう、こんなに傷だらけになって」
 「でもね、ぼく、がんばったよ。お客さん、けがさせなかった」(・○・)
 「そうだな、よくがんばった、よくやったぞ」

おじさんも、ぼろぼろ、なみだをこぼしていました。
ときの丸い顔を、なんども、さすっていました。

◆◆◆ ぐらぐら ぐらぐら
朝になっても、じしんはおさまりません。
ときをレールにもどすさぎょうも、なかなかはじめられません。
 「とき、ごめんな。また明日、来るからな」
 「うん、またね、おじさん」(・○・)
夜になると、ときは、せんろの上でひとりぼっちになりました。
ぐらぐら ぐらぐら
じしんがくると、はっと、めがさめました。
雨がふってくると、きずが、少ししみました。
「はやく、おうちに帰りたいなあ・・・」(・○・)


◆◆◆ ぐらぐら ぐらぐら次の日も、じしんはつづきました。

ときの、ふあんげなかおをみて、おじさんは、しばらくいっしょにいることにしました。

 「初めてお客さんのせたときのこと、おぼえてるか?」
 「うん、よくおぼえてるよ。どの駅でも人がたくさんで、みんな手ふってくれてた」(・○・)
 「おじさんもうれしかったよ。みんな、ときが来るのをずっと待ってたんだからな」

ときは、まあたらしい線路を、力いっぱい走っているところを思い浮かべました。
 びゅんびゅん、びゅんびゅん
 「ぼく、また走れるのかなあ・・・」(・○・)
 「走れるさ。おじさんが直してやるから」
ときは、きずの痛みが少し、やわらいだような気がしました。

 「ぼく、お客さんを駅までつれていってあげられなかった。だから、
こんどはちゃんとしゅうてんまで走らなきゃね」(・○・)

おじさんは、だまって、うんうんと、うなづいていました。

(4) はしれない とき
やっと、しゃこにかえれる日がきました。
でも、ときはまだ、じぶんで走れません。
しゃこまでは、きかんしゃにひっぱってもらうことになりました。
ごとん、ごとんゆっくり、ゆっくり、しゃこをめざします。
いつもとちがう、ながい、みちのりです。
 「じぶんではしれれば、すぐなのになあ・・・」(・○・)
ときは、こんなにゆっくり、けしきをみるのははじめてでした。
はれた空に、とりがとんでいました。
ごとん、ごとん
ときは、とりが見えなくなるまで、ずっと、みあげていました。

◆◆◆しゃこでは、おじさんがまっていてくれました。

 「ただいま、おじさん」(・○・)
 「おかえり。ゆっくりやすめよ」

おじさんは、ほこりだらけのときを、よるおそくまでかかって、ぴかぴかにしてくれました。

 「ありがとう。でも、あんまりむりしないでね」(・○・)

よるになると、ときは、じしんがきたときのことを思い出していました。
また、じしんがおきたら・・・また、けがをしたら・・・
ときは、しんぱいで、こわくてたまりませんでした。
 「お客さんも、こわかったと思うんだ。また、ぼくにのってくれるかなあ・・・」(・○・)
おじさんは、ときの顔をポンとたたいて言いました。
 「ときは、あのじしんにも負けなかったんだ。だから、がんばれるはずだぞ」
やさしい、ちからづよいこえが、ときをゆうきづけました。
 「うん。ぼく、がんばるよ」(・○・)
ときは、ひさしぶりの、あたたかいやねのしたで、ぐっすり、ねむりました。
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Posted by 神谷 at 02:40





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