涙、そして残されたもの。
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487 名前: ('A`) 04/08/24 23:10
俺が幼稚園の年長で妹が年少の時だったと思う。
俺の実家は田舎で幼稚園の通園する道は田んぼのあぜ道だった。
秋頃には田んぼの稲刈りが終わって物寂しい風景になるんだけど、
近所のおじさんが気の良い人で
「こげな、さびしい風景じゃ子供たちがかわいぞうだ。なんか植えるげ。」
と言って、毎年田んぼのひとつを花畑にして、秋ごろに何かしらの花が満開になって咲いていた。
本当に綺麗で、地元では評判だった。
俺と妹は幼稚園の行き帰りをその田んぼを横めに母親と一緒に歩いて通園していた。
2学期が始まって、日にちが経つ度に通園の行き帰りに
風に揺れていた稲穂が刈り取られていく。
毎年の事ながら結構物悲しい風景だ。
しかしそれに反比例するかのように花のつぼみは段々と大きくなっていた。
妹は
「おかあさん、はやくおはなさんがさくといいね」
と言って毎日が楽しそうだった。
俺も母も言葉にはあまりしなかったが本当に楽しみだった。
直に、花畑は満開になった。
おじさんのチョイスする花は毎年綺麗で今年も綺麗だった。
妹は行き帰りいつも母親を困らせるぐらい高揚しながら、
花畑の周りをぐるぐるしていた。
いつも三人で1〜2時間花畑の周りで時間を過ごした。
咲いてから間もなく、急に町があわただしくなった。
東京からドラマの撮影の舞台としてこの町が選ばれたとのことのようだった。
幼い俺は芸能人なんかに当然興味も無く、
妹はいわんや、両親も無関心だった。
毎日の通園のあぜ道の方が楽しみだった。
咲いてから1週間ぐらい経ったとき、突然いつものあぜ道があわただしくなった。
朝行く時バスが2台ほどとまっており沢山の人がいた。
花畑の前に色々な人がいる。花畑のおじさんもいた。
おじさんは何やら色んな人から説得されてるようだと言うことが遠目から、
幼い俺でもわかった。
通園の行く時はバスやら人やらで母親がいつもと違う道を選んだ、
妹は駄々をこねたがしかたなく従った。
幼稚園から帰る時間が近づき母親が迎えに来た、
妹は早く花畑に行こうよという面持ちを隠せないと言った表情で意気揚々としていた。
それに対比するかのように母の顔は暗かった。
「ねえ○○ちゃん(妹のこと)、帰り道変えて帰ってみない?たまには楽しいよ?」
妹は承知するわけも無く、早く花畑に行こうよと母をせかすだけだった。
母は何も言わずにいつも帰り道を歩き始めた。
俺は何故か不安だった。妹は母の意を介せ無いのか意気揚々だった。
しかし、三人の気持ちは悲しい方向に一気に向かった。
遠目からわかった。花畑が無いことに。
妹は母の手を振り切って花畑のあった場所に走った。
しかし、遠目から見た風景の時との差は埋まらず、
そこには花畑は無かった。
朝いた沢山の人、バスも無かった。
妹はただ泣いていた。ずっと。ずっと。
母もうつむき加減で何も言わなかった。俺も泣いていた。
しばらくすると、おじさんが来た。
おじさんの顔もすごく、すごく暗かった。
「○○ちゃん、ごめんな。おじさん断りきれなんだ。ほげにごめんな。」
おじさんはつまった声で言った。
その後わかったことだが、この花畑はドラマの一シーンで使われて、
殺風景の中で何故か咲き乱れる花畑の中ででヒロインが死に、
それを主役のヒーローがその花畑ごと火葬すると言うシーンだったらしい。
おじさんは最初花畑をそんなことに使うことを猛烈に反発したが、
町長さんが来て、
「町のためだから」
と言って、おじさんを無理やり説得したということだった。
家に帰った後もずっと3人とも暗い気持ちだった。、妹はまだ泣いていた。
家は居酒屋で両親は料理の下準備をしていた。
何やら今日はたくさんの人が来るようで父は朝からずっと忙しかった。
夜になると見慣れない人で店がいっぱいになった。
どうやら東京から来たドラマのクルーたちだったようだ。
クランクアップで打ち上げをうちの店でやったようだった。
そして監督がこう言っていたのは一生忘れない
「最後のシーンは最高に感動するね、
自分で言うのもなんだけど、
花が燃え盛るシーンは本当になんとも言えないね。
見てる人は号泣の渦だよ。」
この言葉で場は大変盛り上がっていた。
母が怒りに打ち震えていたのをよく覚えている。
父がおさめていたのもよく覚えている。
「客は客だ。」
と。
その年の冬花畑のおじさんは死んだ。突然。
通園の途中、毎日うちの妹に声をかけて
「○○ちゃん、今度どんな花がみたい?おじちゃんが来年植えるげ。」
と言っていたのに。
妹は色んな色の花がみたいと言って、おじさんが
そうか、よし、期待しとげ、
と言ってたのに。
俺の中では今でもやつらがおじさんを殺したと思ってる。
なんかうまく書けなくてスマソ。
ただこの事件がトラウマでいまだにドラマとか映画見ても
しらける自分がいる。
後、妹は中学生の時おじさんの畑に
学校のみんなでおじさんが植えた花を植えた。
咲いたとき、妹が一人泣いていたのがいまだに忘れられない。
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Posted by 神谷 at 00:15
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