アルシャードガイアシナリオ『Diehard day,Holy night』シナリオ本文
07/12/03-18:43
■アルシャードガイア・シナリオ『Diehard day,Holy night』
■シナリオ・データ
プレイヤー:3〜4人
プレイ人数:3〜5時間
■シナリオ背景
クリスマスイヴの守護聖人、“サンタクロース”ニコラウス・ラップランド。
サンタクロースを信じない子供の存在に絶望を感じ、それが切欠で奈落に飲まれた彼は、子供達にアビスシードと夢をプレゼントすべくクリスマス前に行動を開始した。
ニコラウスの孫で見習いサンタクロースのノエル・ラップランドは祖父が奈落に落ちたことに気づき後を追いかけるも、日本、N市に到着したところで故障してしまう。
失意の中、偶然出会った『PC1』に助けを求めるノエル。
子供の連続失踪事件を追いかける『PC2』『PC4』、サンタクロースを追いかけてきた『PC3』が出会い、奈落サンタクロースと化したニコラウス、そして彼の橇を引くトナカイが変化したクリーチャー、クランプスを倒し、アビスシードを浄化することが出来ればこのシナリオは終了となる。
■セッショントレーラー
別データを参照のこと。
■PCが3人の場合
PC2または4を外して、3人でプレイするといいだろう。
■重要NPC&行動指針
●敵対NPC
奈落サンタクロース:ニコラウスがスペクターとなった姿。子供達にアビスシードと自由をプレゼントして回っている。外見は絵本に出て来るようなふくよかなサンタクロースだが、奈落サンタクロースと化した今、その髭と服は黒く染まっている。
ルド&ルフ(クランプス):ニコライのソリを引くトナカイがクリーチャーと化したもの。ロールプレイのベースは「獣拳戦隊ゲキレンジャー」に登場した臨獣クレーン拳のルーツ(ルフ)、及び臨獣クロウ拳のラスカ(ルド)。
●友好NPC
ノエル・ラップランド:今回のヒロイン。奈落へと飲まれたニコライを追いかけている。基本的にマイペースを崩さない女の子。
■■オープニングフェイズ■■
●シーン1:サンタクロースへの手紙
マスターシーン
◆解説
マスターシーン。北極点の結界内にあるサンタクロースの家。
ニコラウスが手紙を読み、サンタを信じない子供の存在に対する悲しみから奈落に囚われる。
◆描写
その家で、老人はロッキングチェアに座り、ゆっくりとパイプを吹かしていた。
窓の外では吹雪が荒れ狂っていても、部屋の中は暖炉で薪がパチパチと燃え、暖かい雰囲気を作り出している。
サイドテーブルの上には、世界中の子供達から送られてきた手紙が積まれ、その白い便箋に暖炉の火を映している。
老人は微笑みながら一番上の手紙を取り、封を開ける。文字からすれば、小さい女の子のもの―――だが、その内容に老人は悲しそうに首を振り、目を閉じた。
その老人の背後を、どこからか現れた闇がゆっくりと包んでいく―――
◆セリフ
▼少女の手紙
「さんたさんへ。わたししってる。さんたさんは、ぱぱなんだよね? ままとおにいちゃんがいってた」
「わたしはいいこにしています。ぷれぜんとはいらないから、くりすますのよるくらい、ちゃんとかえってきてください」
◆結末
「おじいさま?」
孫娘(ノエル)が異変に気づいた時は、すでに老人はそこにはいなかった。
サイドテーブルの上では、封を切られた便箋が暖炉の火に照らされ、差出人の住所を浮かび上がらせている。
日本、N市―――
シーンを閉じる。
●シーン2:サンタ少女、現る
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
『PC1』のオープニング。
クリスマスイヴの日、公園でノエルに声を掛けられるシーン。
なお、PC1が1人でいる理由は自由に決めてもらって良い。
◆描写
クリスマスイヴの街。
通りにはクリスマスソングが鳴り響き、幸せそうな声が溢れている中を、キミは1人で歩いている。
いかにもイヴらしく、どこを見ても目に入るのは幸せそうなカップルばかり。
そ様子に思わず目をそらしたその先にあったのは、どう見てもスノーモービルだった。
この冬はまだ雪など降っていないというのに、エンジンはついさっきまで火が入っていたかのように暖かい。
そして、それを誰も気にしていないこと、に気づいた瞬間、後ろからキミに声がかけられる。
思わず振り向いた先に居たのは、恐らくそのスノーモービルの持ち主であろう少女。
彼女は、サンタクロースの格好をしていた。
◆セリフ
▼ノエル
「あのー、それ、私のなんですー。壊れてますけどー」
「でも助かりました。やっぱり、クリスマスの夜はいい子にはいいことがありますねー」
「手伝ってくれる人が欲しいって思ってたら、ちゃんとトナカイに似た人が来るんですもの」
「知ってる人もいませんし、一緒に探してくれる人がいると助かります」
「あ、ええと、初めまして。私、ノエル・ラップランドと言います。トナカイさんのお名前は?」
「(聞いたあと)……ええと、それでですね、トナカイさん」
「実は私、サンタクロースを探してるんです。一緒に探してください」
「早く見つけないと、大変なんです」
◆結末
有無を言わさぬ口調でキミの手を引くと、彼女はずんずんと街の方へと歩き出した。
「とりあえず、木を隠すなら森、と言いますし、あっちに行ってみましょうー」
何かに巻き込まれてしまった予感はするが、このまま1人でいるよりはよほどいいだろう。
だからキミは、このおかしな女の子の手伝いをすることにした。
何より、君の腕を掴んだ手が、小さく震えているのがわかってしまったから。
PC1にクエスト【ノエルの探し物を手伝う】を渡し、シーンを閉じること。
●シーン3:クランプスの日
シーンプレイヤー:PC2
◆解説
『PC2』のオープニング。
時はさかのぼり、数日前の夜。街角で“クランプス”に出会う。
戦闘になりかけるが、クランプスのほうが撤退する。
なお、実際に戦闘はさせず、適当なところで切り上げること。
◆描写
12月のある夜。
住宅街もクリスマスムードに沸き、イルミネーションに彩られた家々が道を明るく照らす夜。
散歩をしていたキミは、一軒の家から2つの人影が出てくることに気づく。
大きな袋を背負った黒と白の2人組。この家の人間だろうか―――いや、そうではないだろう。
どこか悪魔のような姿をしたその人影からは、間違いなく奈落の気配がした。
◆セリフ
▼“クランプス”ルド(黒)とルフ(白)の会話
「(『PC2』に気づいて)この子はいい子かな、ルド? いい子ならプレゼントをあげないとね」
「(『PC2』に気づいて)この子は悪い子かな、ルフ? 悪い子ならお仕置きをしないとなあ」
「(『PC2』を見てシャードに気づき)ねえ、見て、この子クエスターだよ、ルド!」
「(『PC2』を見ててシャードに気づき)ああ、見たぞ。だが、今はこいつの相手はしてられないな」
「(ルドの背中でばたばたと動く白い袋を撫でて)今日は良い子を捕まえたからね」
「(背中でばたばたと動く白い袋を担ぎなおして)早く戻ってプレゼントをあげないとな」
◆結末
「僕たちはクランプス」「お前に俺たちは倒せない」
「どうしてもって言うのなら」「探してみるがいい」
「「メリークリスマス、クエスター」」(『PC2』を間に挟むように通り過ぎ、悠々と退場する)
PC2にクエスト【“クランプス”を追う】を渡してシーンを閉じる。
●シーン4:ノーラッド・トラックス・サンタ
シーンプレイヤー:PC3
◆解説
『PC3』のオープニング。
北米航空宇宙防衛司令部に呼び出され、サンタクロースを追跡するように命令される。
◆描写
コロラド州シャイアン・マウンテン。北米航空宇宙防衛司令部で、キミはNORADの指揮官たる北米空軍中将、ラルフの前に立っていた。
司令官直々の召喚命令。すわ一大事かと思いきや、彼の口から出た言葉は意外なものだった。
◆セリフ
▼ラルフ空軍中将
「よく来てくれた、『PC3』。早速だが、キミにはサンタを追跡して欲しい」
「我がNORADが毎年クリスマスにレーダー網を駆使してサンタを追跡していることは知っているだろう」
「実は、あれは冗談でもなんでもなく、本当のことなのだ。普段は北極点で大人しくしているサンタクロースだが、その気になれば一国の軍隊を相手取ることが出来る実力者でな」
「毎年このシーズンは彼が動くので、万が一のために追跡をしているのだが……今年はサンタクロースの動きがおかしい」
「早い時期から日本のとある街に移動し、そこで消失した。これは前例のないことであり、司令部としてはクリスマスまでにこの件を解決することに決定した」
「『PC3』、キミは日本へ飛び、サンタクロースを捜索してくれ。重要な任務だが、キミならやり遂げられると信じている。以上だ」
◆結末
数時間後、キミは日本へと向かう飛行機の中にいた。
PC3にクエスト【サンタクロースを探し出す】を渡してシーンを閉じる。
●シーン5:グリンチ
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
『PC4』のオープニング。
大道善慈から誘拐事件を解決するように依頼される。
◆描写
サジッタ社重役室。キミは大道善慈に呼び出されていた。
要件はわかっている。最近街で頻発している少年少女失踪事件について。
現場に必ずサジッタ製のおもちゃが置かれている上、犯人の情報がないと言う状況から、社内では内部犯の噂すら囁かれていた。
流石の大道も、この状況に憂いを隠しきれないようだ。
◆セリフ
▼大道
「よぉ、元気?」
「流石の善慈もちょっと落ち込んでるよ。善慈思うんだけど、この事件、奈落が絡んでるんじゃないかな」
「証拠が出なさ過ぎるだろう? ユーたちの持ってる、結界? の力じゃないかな」
「悪いけど、ちょっとリサーチしてもらえないかな」
◆結末
「善慈、知り合いのポリスメンに話をしてあるから、最初はそこに行ってもらえればいいんじゃないかな」
許しがたい事件に、いつも飄々とした上司もどこか憤ったような表情を浮かべていた。
PC4にクエスト【連続失踪事件を解決する】を渡してシーンを閉じる。
■■ミドルフェイズ■■
●シーン6:サンタクロースを探して
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
PC1のシーン。ノエル、及び街の人々と話をするシーン。
ノエルがサンタクロースの格好をした人間を片端から調べて回る。
PC3の登場を促すと良いだろう。
◆描写
クリスマスらしく、街にはサンタクロースの格好をしたキャンペーンスタッフが溢れていた。
ノエルはその中、一人一人の顔を覗き込んではため息をついている。
◆セリフ
▼ノエル
「(ずんずんと先を歩きながら)うー、この人も違いますね」
「まったく、サンタクロースはどこにいるんでしょう」
「あの、サンタクロースを見ませんでしたか? ええと、本物のです」
「なに言ってるんですか、サンタクロースはいるに決まってるじゃないですか」
「なにを隠そう、私もサンタクロースなんですよー? ええと、今探してるのは私じゃなくて私のおじいさまなんですが」
「(何故探しているのか、と聞かれたら)それは、その……今はまだ言えません」
「むー、じゃあ無事にサンタクロースが見つかったら、『PC1』にはなんでもひとつ欲しいものを上げます。サンタクロースの証拠です!」
▼サンタの事を聞かれた通行人
「ねーちゃんなに言ってんだ、サンタクロースなんているわけねーだろ」
「本物の……サンタ? あはは、悪いけど他をあたってくれないかな」
◆結末
「困りました。早く見つけないと、間に合わなくなってしまいます……」
ノエルはどこか遠くを見て、再び大きく溜息をつく。
シーンを閉じる。
●シーン7:Silen Night
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
登場難易度は9。警察署で連続失踪事件について聞き込むシーン。
まだシーンに登場していないPCの合流を促すと良いだろう。
◆描写
大道から教えられた所轄の警察署には、すでにこの事件に対する捜査本部が置かれていた。
歳末特別取り締まり期間中とあって警察官の士気も高いが、どうにも事件の尻尾をつかめずにいるようだ。
◆セリフ
▼警部
「は、それがですね、この事件、目撃者がぜんぜん出てこないのです」
「白昼堂々行方不明になっているんですが、誰一人として直接目撃した人間がいないんですよ」
「最初は家出の方向でも捜査したのですが、いなくなっている子供達が子供達ですし……」
「ええ、行方不明になっているのは近所でも評判の“良い子”ばかりです。家出というのもまず考えられません」
「事件前後に現場近くで目撃されている白と黒の服の2人組が怪しいと睨んで調べてはいますが……その2人組の正体も不明で」
「大道さんの紹介と言うことは、大きな声じゃ言えませんが、やはりこの事件、魔法がらみ、と考えるべきでしょうか」
◆結末
「しかし、一体どういうことなんでしょうかね」
警部が溜息をついた瞬間、PCは街中で結界が張られたことを感じる。
奈落の気配だ。
シーンを閉じる。
●シーン8:いい子にはプレゼントを、悪い子にはお仕置きを
シーンプレイヤー:PC2
◆解説
PC2が再びクランプスと出会うシーン。最初はマスターシーンとして扱う。
親子をはじめ、通行人全員がクランプスの展開した結界に取り込まれ、半ば眠ったようになっている。
◆描写
中央通りでは、例の奈落、クランプスがまさに兄妹を誘拐しようとしていた。
◆セリフ
▼クランプス
「ねえルド、ここに子供が2人いるよ。この子達はいい子かな? プレゼントかな?」
「ああルフ、だが悪い子かもしれないな。それならお仕置きをしないとだ」
「ねえルド、きっといい子だよ。プレゼントをあげようよ」
「ああルフ、子供はもっと自由にならなくちゃな。プレゼントの方にするか(アビスシードを額に当てると、子供達は眠るように倒れる)」
「いい子なんてやめようよ。キミ達は何でも好きなことをしていいんだ」
「子供は好きなことを言えばいい。子供は夢を見るものだ(額に埋め込んだアビスシードから黒い光がルドの持っている袋に吸い込まれ、そして袋からクリーチャー化した玩具(トイボックス)が飛び出して来る)」
「見てルド! この子、こんなに溜め込んでる!」
「ああルフ。どうやら、とてもいい子だったみたいだな」
◆解説2
クランプス(ルフ)、及びトイボックス×3グループとの戦闘になる。
クランプス(ルフ)はPC達から10m、トイボックスはPCたちから5mのところにエンゲージ。
なお、倒したトイボックスはおもちゃに戻るが、ルフは倒されてもエネミー特技《クリスマスの悪魔》の力でよみがえる。
◆描写2
袋から飛び出したおもちゃは、まるで聞き分けのない子供のように好き勝手に暴れ始めた。
クランプスはそれを満足そうに見ているが、ふとPCたちに気づく。
◆セリフ2
▼クランプス
「ねえルド、あのクエスターだよ! 僕、あのクエスターと戦ってもいいかな。どうせ僕を殺すことは出来ないんだし」
「ああルフ、お前は仕方ないやつだな―――だが、まあいいだろう。俺はこっちの子供を連れて先に行っているぞ(兄の方を連れ、《マリーシ》を使用して退場する。兄が退場すると同時に、暴れていた玩具の半分が糸が切れたように動きを止める)」
「(PC達に向き直り)さあ、遊ぼう? 僕たちの邪魔をする悪い子には、お仕置きをしなくちゃ(戦闘になる)」
◆結末
「―――ああ、死ぬかと思った(《クリスマスの悪魔》の効果で復活する)」
「無駄だよ、何度やってもおんなじさ。でも、キミ達はがんばったからこの子は返してあげるよ。いい子にはプレゼントをあげないとね―――(妹の方をPC達に預け、退場する)」
結界が解け、街が時間を取り戻す。そして、小さな女の子の声がする。
「まま? おおにいちゃんがいないよ?」
シーンを閉じる。
●シーン9:情報収集
シーンプレイヤー:PC3(誰でも良い)
◆解説
情報収集を行うシーン。シーンの場所はどこでも構わない。
シーンプレイヤーを中心に、情報収集を行わせる。調べられる情報については情報の項目を参照。
難易度は【理知】もしくは【幸運】判定の目標値であるが、GMがふさわしいと思うものを適宜指定しても良い。
リサーチはPC1人につき2回程度行わせると良いだろう。
◆描写
クリスマスイヴと言うこともあって、街はまるでお祭り騒ぎだ。
だが、そのお祭り騒ぎの裏で、確かに何かが蠢いている。それを調べなければならない。
◆情報
▼“クランプス”(難易度8 魔法、奈落、異世界)
クランプス、と言うのは元々北欧で12月にサンタクロースと共に現れ、悪い子にお仕置きをする存在のこと。
(日本で言えば、秋田地方のなまはげに近い)。
しかし、『PC2』が出会った“クランプス”を名乗る2人は間違いなく奈落の使徒である。
なぜか、倒しても生き返る力を持っていた。
また、クランプスと言う名前である以上、彼らの上にはおそらくサンタクロースがいると思ってよいだろう。
▼クランプスの能力(難易度12 魔法、奈落、異世界)
“クランプス”は2体で1組の魔物であり、どちらかだけを倒してもすぐによみがえってしまう。
ルール的な効果はエネミーデータを参照のこと。
《クリスマスの悪魔》及び《クリスマスの天使》のデータを読み上げると良いだろう。
▼トイボックス(難易度10 魔法、奈落)
クランプスが子供達に埋め込むアビスシードから供給されるエネルギーによって、おもちゃが動き出したクリーチャー。
いわゆる“良い子”の、抑圧された欲望の具現化で、エネルギー源である子供の近くにいることが多い。
トイボックスにエネルギーを供給しているのはアビスシードであり、子供に埋め込まれたアビスシードを破壊すれば元のおもちゃに戻る。
アビスシードを破壊するためにはクエスターが自身のシャードを接触させればよい(エンゲージしていればオートアクションで可能)。
▼サンタクロースの行方(難易度11 軍隊、噂話)
NORADのレーダーには、北極点を出発したサンタクロースがこの街の上空で消えたことが記録されている。
連続失踪事件が起こりはじめる直前、街の空を橇に乗って飛ぶ老人が目撃されている。
サンタクロースに似ているが、黒い髭に黒い衣装を着ていたという。
◆結末
黒い衣装を着たサンタクロース。果たしてその正体は。
シーンを閉じる。
●シーン10:サンタクロースが消えた夜
シーンプレイヤー:PC3
◆解説
PC3のシーン。
サンタクロースことニコラウスと会話を行い、彼が変化するところを目撃するシーン。
登場難易度は9だが、他のPCの登場は描写2からとなる。
◆描写
サンタクロースの捜索中、キミはなにか物思いにふけったように、クリスマスのシンボルともいえる巨大なツリーの傍に佇む老人を見つける。
サンタの衣装をまとい、髭を生やした西洋人に見える老人、まるで本物のサンタクロースのように見える彼は、どこか物憂げな瞳でツリーを見上げていた。
◆セリフ
▼老人
「(PCに気づき)どうですかな、クリスマス、楽しんでおられますか」
「わしですか? わしはどうも、こう言ったにぎやかな空気に疲れてしまいましてな」
「上辺は華やかでも、その実小さな子供すらサンタクロースを信じておらん。ただ騒ぐための名目のクリスマス……」
「わしとしては、子供には夢を持っていて欲しいんですが、それも叶わんような状況。どこもそうですが、この国は特に酷い」
「そんな状況に、なんとなく疲れてしまったんですな」
◆描写2
「もしかすると、そんな疲れを奈落に狙われてしまったのかもしれませんなぁ―――うっ!?」
ふと気づけば、赤かったはずの老人の衣装が、足元から黒く変わってゆく。
黒は足元からだんだんと這い上がり、豊かな白髭を、赤い衣装を黒く染めてゆく(GMが知っているのであれば、漫画『聖闘士星矢』の教皇が双子座のサガに変化するシーンを思い浮かべて演出して欲しい)。
老人がすっかり黒く染まってしまった時には、強い奈落の気配が辺りを覆っていた。
◆セリフ
▼老人(サンタクロース)
「そう、わしとクランプスで、この街を今宵、終わらせるのです」
「正しく清きクリスマスの夜、強き魂を持つ子供が自由な夢を見ることの出来る、奈落の世界へと」
「(ノエルが登場した場合)おお、ノエルか。お前も見るがよい、今夜こそ正しきクリスマスの夜が訪れるぞ」
▼ノエル(PC1が登場した場合)
「おじいさま? ニコラウスおじいさま?」
「トナカイさん、おじいさまを止めてください……おじいさまは、本当はあんな事望んでいないはずです」
◆結末
「止めたければ、子供が夢を見る場所を探すんですな。急げば、この街が生まれ変わる瞬間を見られるかもしれませんなあ―――(《マリーシ》を使用)」
シャンシャンと鈴の音が鳴り、そしてサンタクロースは退場する。
シーンを閉じる。
●シーン11:サンタクロースはほんとにいるの?
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
サンタクロースことニコラウス老人の行方を捜すシーン。登場難易度は8。
ニコラウス老人の居場所を見つけるには、【理知】もしくは【知覚】の判定で目標値12を出せばよい。
この判定はPC1人につき1回行え、全員が失敗した場合、時間切れでニコラウス老人が完全に奈落化して街を奈落に飲み込み、シナリオは終了する(PLに伝える事)。
成功した場合、市内にあるサジッタ社の直営店舗に結界を張って要塞化していることがわかる。
場所、及び内部の構造についてはPC4が知っていることとして良い。
◆描写
サンタクロースことニコライ老人は消えてしまった。
目の前では、ノエルが呆然とへたり込んでしまっている。
◆セリフ
▼ノエル
「おじいさまは……子供が大好きなんです。だから、もうずっとサンタクロースでいる事を誇りに思っていたのに」
「でも、もうそんな時代ではないのかも知れません……(オープニングの手紙を取り出し、目を落とす)」
◆結末
「トナカイさん……じゃなくて、ええと、『PC1』さん、みなさん、お願いです。おじいさまを、助けてください……」
PC全員にクエスト【サンタクロースを奈落から開放する】を渡し、シーンを閉じる。
●シーン12:赤鼻のトナカイ
シーンプレイヤー:PC2
◆解説
クランプスがPC達を結界の中に招き入れるシーン。
◆描写
サジッタ社店舗前に来ると、クランプスが現れて結界を開き、PC達を招き入れる。
◆セリフ
▼クランプス
「やあ、クエスターたちが来たよ、ルド」
「ああ、特等席にご招待だ、ルフ(結界を開き、PCたちを招き入れる)」
「これから僕らのゲームに付き合ってもらうよ」
「見事攻略できれば、ニコラウス様と戦う権利をやろう」
「その前に僕らがいるけどね、ルド」
「ああ、俺たちは4階で待っていよう、ルフ(退場する)」
◆結末
結界が開かれると、そこには奈落に侵食されたビルが聳えていた。
シーンを閉じ、クライマックスへ。
■■クライマックスフェイズ■■
●シーン13:サンタクロースのふくろのなか
シーンプレイヤー:誰でも
◆解説
クライマックスフェイズ1。全員登場。
サジッタ社直営店に乗り込むシーン。
サジッタ社N市直営店は奈落と結界の影響で半ばダンジョンと化している。
これにはアビスシードを埋め込まれ眠っている子供達から立ち上がる奈落の力が影響している。
PCたちは、6ラウンド以内に建物の中の全エネミーを排除するか、もしくは子供達を全員救出しなければならない。
ミッション達成に7ラウンド目に突入した場合、サンタクロースは完全に奈落化してしまい、倒したとしても助ける事はできなくなる。
ダンジョンの詳しいルールは以下を参照。
マップについては以下を、エネミー数に関してはエネミーデータを参照すること。
◆マップ
▼GM用マップ
http://s03.2log.net/home/namaya3/gmmap.html
▼PL用マップ
http://s03.2log.net/home/namaya3/plmap.html
◆オリジナルダンジョンルール
▼移動関係
・移動、射程など距離が必要な場合、1マス1mとする。
・グレーの部分は進入禁止エリアである。このマスを移動する事は出来ない。
・エネミー同士が並んでいる場合、エンゲージしているものとして扱う。
・エネミーの横のマスを通過する事は可能。ただし、至近距離で戦闘行動を行った場合、エンゲージとなるので離脱にはメジャーアクションを消費する。
・マップは最初は1階しか開示されていない。PCが次のマップに到達した場合、即座にマップが開示され、エネミーが配置される。
・開示されたラウンドは、エネミーは全て待機状態として扱う。つまり、ラウンドの最後に行動値の低いものから行動を行う。
・階を上下するには、階段のマスで移動力を2m分消費する必要がある。つまり、階段の前のマスから次の階の階段のマスに移動する場合、合計3mを消費する。
・ダンジョン内では全力移動を行う事は出来ない。ただし、メジャーアクションを使用して戦闘移動を行う事が出来る。ライフパス:逃げ足を持つキャラは特別にメジャーアクションの戦闘移動で移動力の二倍の距離を移動できるものとする。
▼対象関係
・別の階にいるものを行動の対象として取る事は出来ない。ただし、加護、及び加護の効果による攻撃などは例外とする。
・射程距離を算出する場合は、グレーの部分も気にせず最短距離を数える事が出来る。視界が通っていない場合でも気にしなくて良い。
▼子供発見判定
・PCはメジャーアクションを使用して子供達を捜すことが出来る。この時、PCの周囲四方のマスにいる場合の目標値を8とし、1マス離れるごとに目標値を+2する。
つまり、PCの周囲四方のマスに子供達がいる場合達成値8で見つけることが出来るが、その隣のマスにいる場合、10を出さないと見つけることは出来ない。
・クリティカルの場合は無条件でその階にいる子供が見つけられるとする。
・子供を発見した場合、エンゲージしていればアクションを消費せずにアビスシードを破壊できる。アビスシードを破壊すれば、その階にいるトイボックスは消滅する。
▼勝利条件
・6ラウンド終了時までにダンジョン内の全ての子供を発見、アビスシードを破壊するか、全てのエネミーを戦闘不能にすること。
・子供を救出することで勝利し、クランプスが生き残っている場合でも、クランプスは最終戦闘には参加しない。
▼加護での移動
・《ヘルモード》を持っているPCがいる場合、任意のタイミングで《ヘルモード》を使用する事によって、好きな階の階段マス上へ移動する事が出来る。この時に限り、1階→4階などの移動も可能。
◆描写
店内に突入すると、そこは奈落の影響でまるで遊園地のようなすがたに変化し始めていた。
トイボックスが何体もいるところを見ると、いなくなった子供達もこの中に閉じ込められているのかもしれない。
◆セリフ
▼クランプス
「(PCが4階に到達した)やあ、待ってたよクエスター! まずは歓迎の挨拶だね!(《イーヴァルディ》を使用)」
「(4階で子供発見判定を行い、子供の発見に成功する達成値を出した)いやいや、そこにはいないんじゃないか?(《エーギル》を使用)」
「(PCが戦闘態勢で4階に到着した)やあ、やっとクエスターが来たよ。思ったより早かったね、ルド」
「ああ、だがこの先には通してやれないな。はじめるぞ、ルフ(戦闘を開始する)」
◆結末
「やられちゃったねえ、ルド」
「ああ、だがまだニコライ様がいるな、ルフ」
「(6ラウンド以内に突破した場合、以下のセリフを追加)僕ら、助かるかな、ルド」
「さてな、やっぱり奈落に飲まれるかもな、ルフ(2人をクリーチャーに変えていたアビスシードが壊れ、正体であるトナカイに戻って気絶する)」
屋上への扉を開ければ、サンタクロースはすぐそこにいる。
シーンを閉じる。
●シーン14:ナイトメア・ビフォア・クリスマス
シーンプレイヤー:誰でも
◆解説
クライマックスフェイズ。全員登場。
奈落サンタクロースとの戦闘になる。
敵は奈落サンタクロース1体、基本的にPCはひとつのエンゲージ、奈落サンタクロースはPC達から10mの位置にエンゲージする。
また、PCが危機に陥った場合、ノエルは一度だけ《ガイア》を使用する。
この《ガイア》の効果、及び使用タイミングはPCが自由に決定してよい。
◆描写
屋上。
いつの間にか、雪の舞い始めたクリスマスイヴの深夜。
緑色のサンタクロースはただ1人立ち尽くしていた。
空を見上げ、まるでクリスマスツリーの上にある星を見るかのように。
だが、そこに星はない。雪を降らせる雲が、どんよりと空を覆いつくしている。
まるで、今のニコライ老人の心のように。
◆セリフ
▼ニコラウス
「ここまで来るとは、さすがに世界を救う良い子はやることが違うの(背負っていた袋を下ろすと、ガシャンと言う音がする)」
「だが、ここまで。夢のないこんな世界は、わしが滅ぼそう―――この、クリスマスの守護聖人……セイント・ニコラウスが!(袋の中から飛び出してきたルーンメイルUを起動。戦闘に入る)」
▼ノエル
「(PCが危機に陥った場合)危ないっ!(《ガイア》を使用)」
◆結末
「……これでサンタクロースはいなくなる。夢のない話が、世界の真実になる―――」
「(シーン13を6ラウンド以内に突破した場合)―――? わしは、生きておるのか?」
「おじいさまっ!(駆け寄る)」
「お。おお。ノエル。……クエスターの皆さん、どうやらご迷惑をおかけしてしまったようですな」
「さて、こうしてはいられない! 子供達にプレゼントを配らねば! ルド! ルフ!(トナカイが橇を引いて現れ、鈴を鳴らしながら退場)」
シーンを閉じる。
■■エンディングフェイズ■■
●シーン15:もろびとこぞりて
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
『PC4』のエンディング。
大道善慈から労われる。
◆描写
クリスマスの朝。
報告に来たキミを、大道善慈はケーキを出しながら労った。
◆セリフ
▼大道善慈
「ごくろうさま。この事件、やはり奈落絡みだったか」
◆結末
「今日は1日休みを取るといい。……ま、大人にもクリスマスプレゼントだよ」
キミの上司にはすっかりいつもの調子が戻っていた。
窓から見下ろせば、雪景色の中クリスマスを楽しむ人々の姿が見える。
PC4の反応を聞いてシーンを閉じる。
●シーン16:サンタクロース・カミン・ジス・タウン
シーンプレイヤー:PC3
◆解説
『PC3』のエンディング。
上司から連絡が入る。
◆描写
クリスマスも無事にはじまった。
日本ではイヴの方がにぎやかだが、本国ではクリスマスの日こそがお祭りのはずだ。
まだ今夜のパーティには間に合うだろう。
そんなことを思っていると、キミに連絡が入った。
◆セリフ
▼ラルフ空軍中将
「『PC3』か? 私だ。連絡が遅れたが、サンタクロースが日本から離れたことを確認した」
「夜を追いかけるように世界中を回っているよ……やれやれ、我々より忙しいな、彼は」
「ご苦労だった。すぐに帰りの便を手配させる。最寄の米軍基地に連絡を取ってくれ」
◆結末
「ああ……その前に、次の任務だ」
中将は深刻な声色でつぶやいた。
「サジッタのゲーム機を買ってきてくれないか。……孫のクリスマスプレゼントを忘れていてね」
PC3が答えたらシーンを閉じる。
●シーン17:おまえのはながやくにたつのさ
シーンプレイヤー:PC2
◆解説
『PC2』のエンディング。
クランプスがお礼を言いに来る。
◆描写
キミの目の前に、白い鬣と黒い鬣のトナカイが現れる。
今ならわかる。彼らがクランプスだ。
◆セリフ
▼クランプス
「ねえ、見つけたよ、ルド」
「ああ、ルフ。今回は済まなかった、クエスター」
「それでね、僕達考えたんだけど」
「お前、サンタクロースになる気はないか」
◆結末
「ニコラウス様はそろそろお歳だし」
「ノエル様はちょっと……な。そこで、お前ってわけだ」
「僕達、いいチームになれると思うんだよね」
「ああ、そうだ、いいチームになれると思うぞ?」
PC2が答えたらシーンを閉じる。
●シーン18:恋人はサンタクロース
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
『PC1』のエンディング。
ノエルが『PC1』にプレゼントを渡そうとする。
◆描写
クリスマスの夜。
世界中にプレゼントを配り終わったノエルが、『PC1』の前に現れる。
ノエルは何処か不安そうに、キミに聞いてきた。
◆セリフ
▼ノエル
「ええと、その、今年はどうもありがとうございました」
「それで、約束の件なんですけどー」
「ええと、やっぱりなんでもって言うのはその、できなくてですねー」
「……で、出来る範囲では叶えるつもりなんですがー」
「あ、でもでも、世界とかアビスシードとか言われても困るんですよ、その辺りは考えて欲しいなあとか」
「できれば簡単なのだと嬉しくてですね、ええと、例えば可愛い女の子とデートとか……ほら、私とか?」
◆結末
「……どう、ですか?」
PC1が答えたらシーンは閉じ、以上で本シナリオは終了となる。
Posted by 生方一寛