歌う脳髄

どうでもいい事について考える凡百blog

タイトルバトンの特殊性に関する私的考察

05/11/06
一時期,バトンをやたら目にした時期があった.その頃に比べれば現在は落ち着いていると言えるが,それでもなお,しばしば目にすることがある.
そしてその亜種としてシークレットバトンというものがあるらしい(こちら参照).
しかし,これはバトンとしては相当な亜種にあたると当方には思えた.よってここでは,なぜそれが相当な亜種と感じるに至ったのか,すなわち「バトンの持つ特性」というものについて書いてみたいと思う.

バトンはに似た特徴を持つものとしては「〜に100の質問」という形式で提供される,所謂「100質」がある.
どちらも一問一答形式であるし,大量の亜種を生み出しており,また生み出しやすい形式である.

逆にこれらの相違点としては,100質が答えるのに何の権利も必要ないのに対して,バトンは基本的に回答するためには誰かからバトンを渡されている必要がある.
つまり,回答の権利を無制限に与えるか,それとも限定するか以外に,この二者の間に違いは形式上,ほとんど無いと言える.
しかし,この「回答する権利の限定」がバトンについて述べる上では,最も重要な位置を占める.

但し,バトンを渡すという行為自体は単体としてはそれほど意味を持たない.
これが重要な意味を持つためには,回答が第三者に公開されている必要がある.
「回答が公開される」という前提と「このバトンを渡す相手を5人挙げて下さい」という質問つまり「次にバトンを渡す相手の公開」によってバトンはその特性,効果を示す.

バトンは当然ながら,「渡す側」と「渡される側」が存在していなければ成立できない.
そしてバトンが広がっていくための必要条件としては,「渡す側」「渡される側」の双方にとってメリットが必要である.
このメリットの中で最も分かりやすいメリットは,「あからさまでない自分語りが可能」という事だが,これは100質にも共通するもので,バトン特有のメリットではない.
バトン特有のメリットは,「渡す」という行為が与える,「関係」に由来するものである.
それが「バトンを渡す相手の公開」に深く関わってくる.


まず渡す側のメリットについて考えてみよう
「バトンを渡す相手の公開」によって,バトンを渡す側は渡される側を自分の知っている人間のうちから選択できる.
これによって渡す側は,バトンを渡したいと思う程度には親しい相手を第三者に示すことができる.
自分がある相手と人と親しい事を周囲に見せ付けることができるのだ.

次に,選ぶ権利があることを利用し,多くは自分よりも上だと認識している相手をバトンを渡す相手として選ぶ.
言ってしまえば
「俺はこんな偉い人と親しいんだ」
という他者を利用した自己顕示,つまりは「見せびらかし」だ.

しかし,この行為は,相手がそれに応じなければ意味が無い.というよりもただの恥さらしにしかならない.
これを補完するのが渡される側のメリットだ.
そしてここでも「バトンを渡す相手の公開」が大きな意味を持つ.


渡す相手の公開は,先ほど述べたように親密であることを他に見せる.
そしてそれと同時に,渡された側に
「渡すことが限定されている5人の中に君を選んだ」
という意思を伝えている.
選ぶ側が相当痛い人間で無い限りは,「誰かによって選ばれる」ことが嫌な人間はほとんどいない.
そしてまた,選んだことが公開されている為に,もしそれを無視したならば,無視したことも公開されてしまう.
単純に面倒だ,という理由でバトンを放置した場合でも,「渡された側は渡した側をそれほど重視していない」または「相手を無視している」と相手と第三者に思われてしまう可能性がある.
つまり,「答えざるを得ない無言の圧力」がバトンを渡す相手を公開するということには備わっているのだ.

この「選ばれる事」と「公開による無言の圧力」というアメとムチによって,選ばれた側はそれに答える,または答えざるを得なくなる.
そしてこれを繰り返すことでバトンは拡散する.

この意味から考えると,バトンは「自分語りがしたい」「親密さを見せびらかしたい」「評価されたい」というWebサイトを持つ人間が抱く根本的な願望を利用して広がったと言えよう.


そしてバトンはmixi(に限らずソーシャルネットワークだが)との間で非常に親和性が高い.
マイミクの表示は自分がそこに表示されている人間と親しいということを示すが,同時にその数はmixiにおける評価とほぼ等しい.よってマイミクの数は増加の一途をたどる.
しかし,マイミクの数が増加するに従い,マイミクとの繋がりの濃さは相対的に薄くなっていく.つまり,マイミクに登録されている人間が,個人の「この人と繋がっていることを自慢したい」という思いとは無関係に,全てのマイミクに登録されたものは,その数の増加に伴いone of themに成り下がっていく.

これに押しとどめるのがバトンである.
特にこの人(大体それは自分よりもマイミクの数が多い人間だが)と親しいということを相手に見せびらかしたい場合,バトンの「渡す相手を公開する」という能力は非常に有効である.
例えばマイミクが自分より多い人間にバトンを渡し,それが受け取られたとき,その二者が特に親密だと言うことが他に示せるからだ.

この意味で,第三者にとっての評価がマイミクの数とほぼイコールであるmixiの,それなりにマイミクの数のある人間にとってバトンは魅力的であり,そしてそれなりにマイミクがあるためにバトンが広がりやすい土壌があったとも言える.

おそらくシークレットバトンはこの延長上にあるのだろう.
つまり,親しい人間と新密度が深いことを示すためにバトンがあり,更にその新密度が高い相手との間で親密さを維持し,またそれ以上に見せつけるための手段としてシークレットバトンを生んだのだと当方は考える.

とはいえ,一度聞いたら答えなくてはならない,というあたり,無制限に人間を増加させる可能性を含み,更にこのようにバラす人間が出てくることを予見できず,答えなかった場合の罰則が無い当たり,非常に「甘い」と言わざるを得ないが.


以下,余談.
バトンの広がり方は前エントリで示したような広がり方,つまり
周辺から中枢へ,そして衰退しながら再び周辺へ
という感じになるが,この場合に中枢へ行く理由としては,上で述べたような
「自分より上の人間と繋がっていることを見せたい」
という事と,元から中枢側の人間は他との繋がりが多いのでバトンを渡される可能性が高い,という理由による.

そういや,既に書いてて駄目だと思ったから破棄したエントリで,中枢から再び周辺へシフトしていく時,自分にバトンが回ってくるかどうかの期待値は,「自分が6人以上と繋がっているかどうか」で大きく異なる,という予測を立てた記憶があるな.
6人以下にしか繋がってない場合,バトンの受け側にしかなれない,バトンというシステムにとって最も無用な存在だという立ち位置なので.
まあどうでもいいな.





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Posted by 名無しさん at 15:56