「個人サイト」とはどう定義されるべきか?
06/04/05
始める前に:このエントリでは結局個人サイトを定義できていないので要注意.
blogの定義はシンプルである.
「blogツール」を自称するソフトウェアによって構築,更新されたサイトがblogである.
しかし「個人サイト」というものの定義はそれほどシンプルではない.
以下に個人サイトを定義する上で考えておくべき前提を挙げる
前提1
「blogのように手法によって定義されるものではない」
HTMLファイルをFTPソフトを用いてアップロードして構築する旧来のWebサイトにも,blogにも「個人サイト」と呼ばれるものは存在する.
前提2
「個=一ではない」
個人サイトの「個」を「一」と見なしたならば,「たった一人によって管理するサイト」となるが,ならば複数人の管理者,記事投稿によって成立するサイトは個人サイトではない,ということになり,更にはそのようなサイトを「多人サイト」や「複数人サイト」と呼ばなければならないが,多数の合意の元に「個人サイト」と「複数人サイト」というように分類され,用いられた事例は存在しない.よって,この個人サイトの「個」とは「一」ではなく,個人サイトには複数の管理者を持つサイトも含まれていると考るべきである.
前提3
「非営利サイトは個人サイトに限らない」
これは前提としては重要ではないが,後述する内容に関わるので述べる.
個人サイトに対立するものとして企業サイトがしばしば挙げられる.そしてこの企業サイトの目的が最終的には金銭的利益であるため,「営利目的の企業サイト」対「非営利目的の個人サイト」というくくりで抽象化される事がある.
しかし,営利対非営利では,非営利の中にNPOが含まれてしまうため,この対立に個人サイトを持ち込むのは不適切であると考えられる.
これらの3つの前提を踏まえて考えた場合,個人サイトの「個」とは「private」としての意味であり,よってこれと対立するのは「公」「public」であると考えられる.
すなわち,個人サイトとはプライベートなサイト,私的なサイトであると考えられる.
しかし,実際に「個人サイト」と呼ばれるサイトにはこの定義通りの,厳密な意味での個人サイトというのはそれほど多くなく(むしろほとんどない),私と公の性質が混合している場合が多い.
これを端的に示すのが,炎上,祭りの場合である.
2つほど例を挙げる.
2月末,経済産業省の谷みどり消費経済部長のblogが閉鎖された.
その閉鎖の原因の一つとしては「勤務時間中の更新に対する指摘」が挙げられている.
また閉鎖後,
官庁のHP(サイト)は、見たい情報にたどり着くのが大変だし、広報予算も限られている。官僚言葉でなく、個人として語りかけたかった。職務中の更新は注意が足りなかった
とのコメントを残している.
彼女のブログは,自分が利用しているプロバイダによって提供されたもので,経済産業省とは無関係である.
このことと,「個人として語りかけたかった」という言葉を踏まえると,彼女のサイトはその開始時点の本人の意識では個人サイトであったと言える.
しかし,それに対する閉鎖の原因(閲覧者等の批判)は,彼女の所属する公務員というカテゴリーによって発生している.そして,このような所属する組織に基づく批判が発生するということは,閲覧者はそのサイトを「私的なサイト」ではなく「公的なサイトの一部」とみなしている.
ただ,この件に関しては,元々経済産業省に属しているから得られる情報を提供しようとしていた,つまり,最初から公の一部としての性質を持っていたとも言える.
よって,もう一つの例を挙げよう.
去年八月,ホットドッグチェーンのネイサンズのWebサイトに,謝罪じみた文章がが掲載された.
発端は,あるblogに
「大量オタ。これがぶぁぁぁぁあっているの。恐い!きもい!」
等の文章を掲載し,なおかつにそのblogの管理者が,自身がネイサンズのアルバイトであることを明らかにしていたためである.
この件の場合,blogの管理者が所属を明らかにしなければ,ネイサンズはそのような文章を掲載する必要は無かったはずであり,所属が明らかになっていたことがネイサンズという企業が巻き込んだと言える.
そしてこの件は,私的なサイトがその所属を明らかにすることで公的なサイトの一部として扱われた,とも見なすことが可能である.
また,この二例に限らず,サイトが炎上する過程で,その所属を特定し,所属先に抗議をするという事例は多々見られる.
もしもこれらのサイトが完全に私的,すなわちその所属を何ら明らかにしていなければ,当然ながらそれらのサイト管理者が所属する組織に悪影響を与えたり,所属する組織を理由にサイトに悪影響を与えられたりはしなかっただろう.
余談であるが,私的という意味では,これらに限らず,いわゆる社長ブログと呼ばれるものも,管理者がその社長自身であろうとも,その会社を総括するという立場を明らかにしている以上,完全に私的なものではない.
これらのことから考えるに,私的,個人サイトであると自称していても,その所属を明らかにした瞬間から,(閲覧者にとっては)そのサイトは公の性質を持ち,完全に私的では無くなるものと考えられる.
このことから,完全に私的なサイトとしての個人サイトであり続けるためには,全ての文章において一切の個人を特定する情報を出さないという細心の注意が払われなくてはならないということになる.しかし,現実にそこまで情報を制御することは難しく,上記の条件を本当に完全に満たすサイトが存在するのかどうかというレベルで疑問が残る.
ゆえに,個人サイトを現実的にはどのように定義すべきかについては議論の余地があると考えられる.
以下雑談
微妙に続くかも.何を公開して何を公開しないことがどのような影響を与えるのかとかその辺について.
そしてこのエントリとは直接関係ない.
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Posted by rgy at 01:31