ダイヤモンド三菱−新たなる翼−

挑戦者、冒険者、開拓者。そういった名で呼ばれる者たちはすべて愚か者だ。誰も目指さぬ夢を追った愚か者を待つのはあざけりか、喝采か。

GPO白プレイ日記(5):スプリング・ツリー

06/03/28-23:36
 これまでのおはなし。

(1)http://s03.2log.net/home/therapyear/archives/blog451.html
(2)http://s03.2log.net/home/therapyear/archives/blog452.html
(3)http://s03.2log.net/home/therapyear/archives/blog453.html
(4)http://s03.2log.net/home/therapyear/archives/blog454.html

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 ぼくが青森にやってきてから、はや一ヶ月が経とうとしていた。その間のぼくの生活については、とくに語る事はないと思う。随分昔のことで、いろいろあった気もするが、昔と言ったって、カルチャー・クラブとボーイ・ジョージが全盛を誇っていたような時代に戻るわけじゃない。ごく最近の話だ。

「やれやれ」
 幻獣警報を聞いて、ぼくは思わず溜息をついた。
「溜息つくの、よしたら。士気に影響するでしょう」
 戦車兵の菅原乃恵留が言った。また嘆息しそうになってから、彼女の非難する視線に気付いて、やめた。ぼくはあまり戦闘が好きではなかったので(好きだ、という人物は少なくとも同級生にはいない)、警報が鳴るといつも陰鬱な気持ちになる。
 その日の作戦は大防衛線だった。難易度のカテゴリは6。6だって? ぼくがこれまで戦ってきた戦場は最大でも3だったので、これは寝耳に水だった。「やれやれ」と呟いて、また菅原さんに睨まれた。やれやれ。

 戦闘準備をしながら、ふと幻獣がいない世界のことを考えてみることがある。そこではぼくはきっと普通の中学生で、同級生とおしゃべりをしたり、流行の音楽を聞いたり、ディスク・ジョッキーにくだらないメールを出したり、マスターベーションをやったり、恋愛小説なんかを読んでいたりするのだろうし、週末には真央─ぼくのガール・フレンドだ─とデートだってするだろう。
 でも、これは今のぼくだってやっていることだ。ただ、「あちら側」のぼくは幻獣と戦わない。それだけが、ぼくと彼を隔てているのだ。冷戦時代のベルリンの壁みたいに。

 戦闘に出た。大勝だった。ぼくは張り切って、アース・ウインド・アンド・ファイヤーが「宇宙のファンタジー」でも歌ってるみたいにひしめく幻獣の群れにグレネードを撃ち込み、4体のミノタウロスと4体のキメラを倒したし、防衛拠点は99%を護り切る事が出来た。戦い自体は好きじゃなくても、勝つのは嬉しい。
 翌日、ぼくは防人の盾なる勲章を貰い、上司の講演会にもゲストとして呼ばれた。こういうのって、そんなに悪くない。

 そういった出来事(戦闘のことだね)を除けば、ぼくは100パーセント普通の学生だった。朝には真央が手作りの弁当を手に迎えに来る。たまにはぼくも作る。授業を受け、友達とおしゃべりをし、弁当を食べ、また授業を受ける。授業が終われば訓練だってする。ぼくは普通の学生だし、ぼくにとっての普通の学生とは学兵であるべきだからだ。

「ボウリングに行こう」とぼくは真央をよびつけて言った。学兵だってボウリングくらいする。いいわよ、と彼女が言ったので、ぼくたちは二人でボウリング場で遊んだ。2ゲーム続けてぼくが勝ったが、真央は終始ご機嫌だった。
 それからぼくたちは外に出て食事を取り、帰り道で少しじゃれあった。ほっそりとした真央の身体を抱き寄せ、やわらかい唇にそっとキスをした。その間、ぼくはずっと自分が勃起しているのを感じていた。でもこれって仕方のないことだと思う。
 少し長いキスを終えて、ぼくは彼女を見上げた。
「ねえ」とぼくは言った。「今日はこのまま一緒にいたいな」
「そうね」
 真央はにっこりと微笑んで言った。それから、ぼくの勃起したペニスにそっと触れてきた。
「あなた、わたしと寝たいと思ってる?」
 ぼくは肯いた。
「わたしもそうしたいと思っていたの」

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Posted by 加納
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